【映画】スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム

劇場で見るのはなかなか難しいし、家の方が気楽なので、配信スタートを待っていた。木曜日からアマゾンプライムで配信が始まったものの、2000円ちょっとの「購入」が必要なので家族も交えて迷った結果、やはり見てしまうことにした。それだけ期待していたということだ。ドクター・ストレンジの登場よりも、興味を引かれていたのはデアデビルと往年のスパイダーマンだった。

デアデビルはもう少し活躍するのかと思いきや、顔見世程度だったのでやや拍子抜け。その替わりと言ってはなんだが、トビー・マクガイアとアンドリュー・ガーフィールドは想定以上の大活躍で驚いたほどだ。ピーター・パーカーが3人勢ぞろいする中、トム・ホランドの影が薄く見えてしまうほどだった。それもウルトラ兄弟が助っ人に来るようなとってつけた設定ではなく、ドクター・ストレンジを絡めてSF考証がしっかりしているあたりは、さすがにマーベルスタジオ。マルチバースの設定は、製作側にとって都合よくストーリーを組めてしまうのだが、それに安易に依存しないところが見事なのだ。

そして、アベンジャーズものらしく、理屈っぽい哲学っぽい部分も忘れていない。スーパーヒーローといえども、自分だけの都合で世界に手を加えることはできないし、それをしてしまうと大きな代償を伴う。自らの行動に責任を持つためには、その影響範囲を理解している必要があるということふだが、それはまさに私たちの誰しもが認識すべきポイントでもある。その責任を、最後はトム・ホランド演じるピーター・パーカーが自分で取る形で終わるところも、いかにも米国であり、いかにもハリウッドという印象だった。

それにしても、以前から違和感があったが、さすがにもうホランドゼンデイヤもジェイコブ・バタロンも高校生の設定は無理だろう。ゼンデイヤはすっかり貫禄と色気がついてしまった。マーベルシリーズが世代交代を進める中、本作でもメイ・パーカーがその道をたどったが、3人組の今後はどのような未来が用意されているのだろうか。