【W杯アジア最終予選】オーストラリア―日本

やはりサッカーは90分通してのマネジメントが必要だ。言い換えれば、良い選手を上から11人並べればよいのではないということで、かつてオシムが言っていた「水を運ぶ人も必要」ということにも通じる。終了直前の2ゴールでワールドカップ本戦出場を果たした日本代表だが、三苫を後半39分まで使わなかったことに対する批判も多いはず。しかし、雨というコンディションや相手も守備に意識を割いてくるであろうことを考えれば、90分のどこでギアを上げるかのマネジメントは重要だった。

ピッチコンディションがかなり悪かった。ドリブラーには厳しいコンディションだったからこそ、三苫をスターターに起用しなかったのだろう。そして、まず第一弾のギアは中山雄太の投入。ベテラン長友は90分走り続けることは難しかったはずなので、これがひとつのポイント。そして三苫は、最後の最後で使うジョーカーだった。伊東を使った右サイドからの切り替えということも、オーストラリアにとってはやりづらかったはず。ただ、それにしても投入が遅すぎるのではないかという疑念は、確かに僕も抱かないわけではない。

ロスタイム4分の2点目が象徴的だが、左サイドでボールを受けた三苫はドリブルで相手DFを切り裂く。疲労が極限のあの時間帯だからこそ、オーストラリアはあそこまで壊滅的に破綻してしまったのだろう。雨というコンディションも考えれば十分に合理的な戦術ではあるが、わずか10分で三苫が結果を残さなければ森保監督は間違いなく批判に晒されていた。それは大きな賭けでもあったが、大迫も前田もいないFW陣を考えれば致し方なかったのかもしれない。いずれしにても、これでカタール行のチケットは手にしたので、現実的な本大会でのプランに着手してもらおう。