【全豪オープン】ナダル―メドベージェフ

予想のつかない展開。2セットダウンからの逆襲もそうだが、サービング・フォー・ザ・チャンピオンシップをブレイクされた直後に再びブレークを奪い、5時間半に及ぶ熱戦を勝ち切ったナダルの姿は誰にも想像できなかったことだろう。

全豪オープンの男子シングルス決勝は、メドベージェフの圧倒的な戦術で始まった。ナダルのバックハンド側にリターンを集め、ラリーからのミスを誘う。ナダルはサーブが入らない上にバックハンドのエラーを繰り返して流れをつかめずにいた。2セットを失っても一気に流れを変えることはできなかったが、徐々にメドベージェフにも疲労が見えてくる。フットワークに陰りが見えて、そのせいでリターンが甘くなる。バックハンド側を狙うこともままならなくなり、ナダルも得意の「回り込んでのフォア」が決まり始めた。

メドベージェフは観客の騒々しさやボールパーソンのボール回しなど、いろいろなことに不満をぶつけていたが、それでメンタルを乱される様子もなく、チェアアンパイアのブロムさんに感情をぶつけた後は普通にプレーができていたように見えた。そのブロムさんは、大きなジャスチャーを交えてジャッジを示したり、明確なアナウンスで観客を制止したりするなど、この重要な一戦を見事にさ裁いていた印象だった。以前、生で見たときには、「気の良いおじさん」という感じだったのだが…

ナダルもメドベージエェフもすべてを表現した一戦だったように思うが、だからこそ「難民解放」メッセージを掲げた乱入者の存在や観客の余計な声は本当に不要だった。国際映像がすぐに引きの映像に切り替えたのはファインプレーだったし、簡潔に状況をレポートした神尾米さんも見事だった。放送の面では、WOWOW実況席の石井弥起さんと鍋島昭茂さんも、特に終盤は余計な描写もなく、試合の緊張感を伝えてくれたことがありがたかった。