【全豪オープン】オジェ・アリアシム―メドベージェフ

どちらに転んでもおかしくない一戦で、オジェ・アリアシムにはストレートセットで勝ち抜けるチャンスも十分にあった。速い振り抜きで攻めるオジェ・アリアシムに対し、普段はミスの少ないメドベージェフは明らかにペースをつかめずにミスを繰り返していた。しかし、サードセットのタイブレークを取ったメドベージェフは、そこからミスを減らしてゆく。それに対してオジェ・アリアシムは、クロスの打ち合いからコースを変えるストレートでミスを重ねてしまい、半ば自滅のような形で状況を悪くしてしまった。

ひたすら自分のプレーに集中しようとするオジェ・アリアシムと、スタンドの観客を何度も煽りながらもその表情は虚ろだったメドベージェフ。メドベージェフは、今大会でオンコートインタビュー中にまで聞こえる「Siu」に対して「IQが低い」とまで言い切ってしまっていただけに、立場は微妙だったのだろう。それでも、お互い一歩も譲らぬ熱戦に、観客も引き込まれていたのは間違いない。

最後に勝負を分けたのは、オジェ・アリアシムの足の負傷の影響もあるだろうが、メドベージェフとのディフェンス能力の差も大きかったように思う。2セットダウンとなった時点で「勝つにはフルセット」という思い切りができることは、大きなメリットのはず。その時点でペース配分も変えられるからだ。いつでも勝てると思っていると、結局そのチャンスを逃してしまうこともある。