【テニス】ジョコビッチ問題の結末

アレックス・ホークがジョコビッチのビザを金曜日の夕方遅くに取り消したのは、月曜日から始まる全豪オープンに向けて、裁判に持ち込まれてもジョコビッチの利益がなくなることを想定していたのだろうと思っていた。ところが、オーストラリアの連邦裁判所は、土曜日にジョコビッチの面談を実施して日曜日には判決を出すという異例のスケジュールで対応した。当初伝えられていたケリー判事の再任ではなく、3名の判事によるフルコートの裁判となり、上訴ができないために最終的な判断が下されることになった。

もうひとつ、僕にとって意外だったのは、政府側がジョコビッチの虚偽申請を問題にしなかったこと。争点をここに置いて単純な話にするのではないかと思っていたのだが、確かに考えてみればこの程度の虚偽で入国している人は少なからずいるはず。いったん入国してからメディアの情報で再審査したかのような印象は、あまり望ましいとは言えないだろう。あくまで政府は、ジョコビッチが反ワクチン運動の象徴的な存在であることを理由に挙げたが、報道によれば最初のビザ取り消しが無効化された後に反ワクチン、反政府系の活動が活性化していたとのこと。支持者へ感謝を伝えた行為も影響していると思われるが、外形的にはジョコビッチが余計なことをしてしまったようだ。

ジョコビッチには、今回の政府勝訴の一環として「向こう3年間の入国禁止」という措置が想定されている。オーストラリアの入国管理は厳格なので、これをジョコビッチにも適用する可能性は高い。僕の経験では、カロリーメイトも取り上げられたし、のど飴ですら入国管理官は許可するかどうか悩んでいた。これもすべて防疫管理の視点なので、新型コロナウイルス絡みとなれば、厳しい判断も致し方ないだろう。