【鳥栖―大分】日程変更の影響は

金曜日に予定されていた試合が台風の影響で土曜日開催となり、僕は大分にとっては不利になったと思っていた。台風が通過した後の濡れたピッチなら、パスサッカーは困難。そうなれば長沢の高さが生きるはずだ。だから、金曜日の中止決定は、鳥栖にしてやられたような気分になっていたのだ。

しかし、土曜日の試合内容を見て、それは誤りだったことに気づく。長沢のポジションは低く、センターラインの手前でポストプレーをしているようでは、結局そこからパスをつなぐかドリブルを仕掛けざるを得ないので、高さはまったく生きない。それも、ヘッドですらせてシャドーがラインの裏へ飛び出すなら意味があるが、ヘッドで当てて落とすだけならもっと高い位置にいてくれないと効果は生まれない。結果的にスコアレスドローで終われたが、金曜日の試合だったらそうはならなかったように思う。

それほどまでに、大分の攻撃は形になっていなかった。前節、僕が指摘したセカンドボールが取れない状況は継続しており、ボールを奪っても次のプレーで奪い返されるシーンが繰り返された。セーフティファーストも必要だが、つなげる意識なく蹴り出してもチャンスは作れない。小林成豪と渡邊新太は中盤では効果的な動きをしていたようにも見えるが、シャドーらしいプレーはほとんど見られなかった。これでは、3-4-2-1ではなく3-6-1、もしくは3-7-0だ。鳥栖相手に守備から入ったという見方もできるが、少なくとも増山の投入は遅すぎる。何よりもビルドアップでの判断が遅く、手詰まりな小出への無意味なパスを繰り返していた刀根は代えて欲しかった。