【USオープン】ラドゥカヌ―フェルナンデス

テニスのUSオープン女子決勝で、10代同士の対戦となったのは1999年のセリーナとヒンギスの対戦以来。さらには史上初のノーシード同士の対戦でもあり、ラドゥカヌは予選上がりでのファイナリストとなったことも、この決勝を盛り上げる要因になった。フェルナンデスは大坂なおみを破っており、その意味でも注目が集まったことだろう。また、ラドゥカヌの母親は中国系でフェルナンデスの母親はフィリピン系とくれば、欧米で差別が広がっているアジア系の対決という見方もできる、大坂なおみも母親が日本人なので、興味深い取り合わせだ。

さて、試合だ。大坂戦でのフェルナンデスは立ち上がりが硬く、これなら大坂の楽勝かと思いきや徐々にペースを上げ、小気味よいアングルショットと攻める意識の高さで押し切った印象だった。この日も立ち上がりはリズムが悪かったが、すぐに勢いを取り戻うとラドゥカヌとパワフルな打ち合いを繰り広げた。一言でいえば、フェルナンデスは失敗にめげずポジティブに攻め続けるファイターで、ラドゥカヌはどんなボールにもくらいついて的確にリターンする屈指のディフェンダーだ。

結果的にはラドゥカヌが予選からセットを落とさずに優勝するという偉業を成し遂げてしまうのだが、二人の差はさほど大きくなかったと思う。攻める意識の高いフェルナンデスが勢いでミスをすることも多く、大事なところでリカバリーが効かなかったという程度の差で、最後はあっけなく勝負が決してしまった。女子は絶対的な強者がおらず、次々と若手が台頭してくるからおもしろい。男子も昨年あたりから少しづつ世代交代の兆しが見えているが、まだまだベテラン勢の魅力も捨てがたいところだ。