【TOKYO 2020】男子サッカー/日本―スペイン

交代策を見る限り、スペインは90分で決着を付けようとしているように見えた。それに対して森保監督は、延長でシフトチェンジするために交代カードを手元に残した。ここまで信頼してチームの主軸であり続けた久保と堂安を下げて、三好と前田で前線を活性化させる。それは実に理に叶った戦術だ。しかし、誤算だったのはスペイン守備陣のスピードだった。

両サイドに置いた前田と相馬のスピードでスペイン守備陣を切り崩す。そんなシナリオを描いていたことだろう。しかし、スペースに抜け出した前田は追いつかれ、相馬は囲まれる。武器だったはずのスピードで相手を上回ることができず、状況を打開できなかったのだ。そうなると、フィニッシャーとして機能していた久保と堂安を失った代償だけが、日本のイレブンにのしかかってくるのだった。フランス戦の終盤に三好と前田が追加点を奪った絵が森保一の脳裏に刻まれていたのだろうが、それはあくまで体力とモチベーションを失ったフランスだったからこそなのだということに気づくのは簡単ではなかっただろう。

谷は本当によく守っていたし、並のGKなら3点奪われて90分で決着がついていたと思う。あの失点は責められるものではなく、アセンシオの決定力を称賛するしかないだろう。ここから切り替えての銅メダルマッチに、どう立ち向かうか。大迫や三苫にチャンスを与えてもよいだろう。かつてメキシコシティで開催されたオリンピックで日本が地元メキシコを下して銅メダルをとった仕返しだけは、喰らいたくないものだ。