【TOKYO 2020】男子サッカー/日本―ニュージーランド

PK戦にもつれこんだら危ないと思っていた。ニュージーランドのGKバウドの反応は素晴らしかったし、安定感もあった。そして実際にPK戦が始まり、1人目のウッドが余裕で決める。このときの谷は早く動いてしまっていたので、僕の中での勝てそうな気が一層失われていた。日本の1人目、上田の表情は硬かったのだが、結果的には落ち着いたキックを成功させる。ニュージーランドの2人目のときに谷は落ち着きを取り戻しており、見事にセーブ。板倉はGKを先に動かす巧みなフェイントで決める。これが精神的にニュージーランドを追い詰めたのではないだろうか。

ルイスは狙いすぎたのか上に外す。ここでも谷がキッカーにプレッシャーをかけ続けていて、ベテランのような狡猾さがあった。中山が冷静にコースを狙って決め、最後は吉田麻也が成功させて、久保も三苫も使わないままにPK戦を勝ち抜いた。90分、あるいは120分の中で勝ち切れなかったことは残念ではあるが、このPK戦の勝利は彼らに大きな財産となったはずだ。その意味では貴重な経験であり、貴重な勝利だった。

次はスペイン。強化試合ではドローに終わっているが、互角以上の戦,いだった。準々決勝でもコートジボワール相手に薄氷の勝利だっただけに、日本の勝機は十分にある。ここで勝つことができれば、決勝はブラジルかメキシコ。個人的には、メキシコとの再戦の可能性が高いのではないかと思う。堂安と久保は明らかに疲労が溜まっている。南アフリカ戦と同じような角度から放ったシュートが枠を捉えなかったのは、腰をしっかり回し切ることができなかったからだ。中2日での連戦でどこまで回復できるか。できないのであれば、ジョーカーとして起用することも選択肢だ。