【TOKYO 2020】女子サッカー/日本―カナダ

立ち上がり、カナダは浮足立っていた。パスは収まらず、連携が取れない。しかし、対する日本も同様だったことが悔やまれる。フォトセッションでなでしこJAPANは笑顔も見せていたが、立ち位置が決まらず撮影時間も妙に長い。この時点ですでに異状は感じられた。その中でも普段と違っていたのはGK池田咲紀子。彼女は安定感のあるGKなのだが、明らかに目が泳いでおりプレーに自信が感じられない。初戦のドローは悪くないが、展開を難しくしてしまったのはゲームへの入り方であり、要はメンタルの問題だったのだと思われた。

田中美南のPK失敗も同様だ。小刻みなステップを踏んだ時点で嫌な予感はした。EUROでも、こういうPKをしたキッカーは成功確率が低かったからだ。投入されたばかりで、まだ試合に入り込めていないタイミング。ここまで代表落ちの時期を乗り越え、ようやくたどりついたオリンピックの舞台。静まり返る無観客のスタジアム。そして、相手GKの負傷による不自然に長いインターバルが最後の決め手だった。これは、大分の藤本が失敗した状況に酷似していた。PKキッカーがあらかじめ決められていなかったようなので、それもまた大分の状況と同じだ。ピッチ上の選手たちが強化試合のオーストラリア戦でPKを成功させた岩渕に託せなかったのは先に挙げた事情があるからだが、勝ち点1つ、得失点差1が重要なグループリーグでは重大なミスだろう。高倉監督の直前の体調不良も、影響していたかもしれない。

高倉監督は、遠藤をジョーカーとして使うつもりなのだろう。そうなると、左サイドバックはこの日起用された北村か宮川。北村は前への意識は高いものの、パスミスや相手の寄せでロストする場面が目立ち、最後までプレーさせたことには疑問符がつく。一言で言えば判断が遅いのだが、右サイドの清水の使い方が固まっているのに対し、チームとして左サイドの崩し方は意識が統一できていないのではないだろうか。ポストの使い方と左サイドが、なでしこJAPANの今後の課題となりそうだ。