【U24日本―スペイン】期待感と警戒感

スペインを相手に、ほぼベストメンバーと考えられる前半のメンバーでは圧倒していたと言ってよい内容を見せたU24日本代表。これによって国内外の期待感も高まったことは間違いなさそうだが、同時に他国が警戒感を高めてしまったことだろう。何よりも素晴らしかったのはミドルレンジのパスを狙い続けるスタイル、そしてそのパススピードの速さだった。隣の選手に「各駅停車」でパスを回すのではなく、ボールが転がっている間に相手がいくつものアクションを取れる間も与えず、しっかり受けて次につなげる。そんな上質なヨーロピアンなサッカーを前半に体現していたのは、スペインではなく日本だった。

ただ、後半に入ってメンバーを落とすと、プレーの質も変化する。長いパスは明らかに減り、そのスピードも落ちた。その傾向はスペインがペースを握ったことでさらに強まり、結果的に失点してしまったことにもつながっている。オリンピックの、特にグループリーグは連戦なので、選手の選択と交代をうまく見極めないと、最後に勝ち点がどう積み上がるかに大きく影響してしまうはず。ここは、森保監督に与えられた最大のミッションということになる。

足の張りということで別メニュー調整と伝えられている三苫は、本当にコンディションの問題なのだろうか。この時期にジョーカーを隠すことは珍しくなく、三苫は間違いなくその資質を持っている。彼がもたらすスパイスは、前半の上質なサッカーをさらに引き上げてくれることだろう。そして、オリンピックで活躍した選手には、当然ヨーロッパの強いチームからオファーが届く。三苫にはすでに話があるようだが、スペイン戦のようなパフォーマンスを見せれば、ヨーロッパ内での移籍を含めジャンプアップできる選手は少なくないだろう。