【映画】トゥモロー・ウォー

Prime Videoの「Tomorrow War」は、設定と構成だけ見れば明らかにB級映画でしかないのだが、細部にこだわって予算を掛ければ十分に娯楽性のある作品に仕上がることを実証しているという意味で、価値のある作品だ。CO2問題と地球温暖化、そして親子の愛情がテーマだと思われるが、これもよくある要素の寄せ集め。展開は読めるし、ストーリー上のサプライズはほとんどない。しかし、一方で映像は意表を突かれる場面の連続。ここでこう見せるかというヴィジュアルに、結構ドキドキしてしまった。

ヴィランの位置づけにある「ホワイト・スパイク」は映画「エイリアン」のエイリアンのようでもあり、日本の妖怪「鵺」を思わせる部分もある。その生物がバリケードを破って侵入してくる様子は「ワールド・ウォーZ」のゾンビそのもの。それでも、細部の造形や動き、弱点などの設定が非常に細かく計算されていて、そのこだわりのおかげで引き込まれてしまうのだ。

主役男優に「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」のクリス・プラット、主演女優に「ハンドメイズ・テイル」のイヴォンヌ・ストラホフスキー、そしてJ.K.シモンズが絡むという個性的な顔ぶれを配ているので、彼らの掛け合いだけでも十分に見ごたえがある。個人的には父親と息子の愛の物語はまったく心に響かないのだが、過剰にならない程度だったことでどうにか受け入れることができた。ただ、この流れで「2」を作ってしまうと、駄作に終わる可能性が高いだろう…