【ローランギャロス】錦織圭が4回戦へ

フレンチオープンの3回戦でラクソネンと対戦した錦織圭は、試合序盤で内転筋を痛めたように見えたラクソネンに対してなかなか攻め切れない。勝負に徹するなら、当然前後左右に揺さぶるところだが、相手の正面に返して逆襲を浴びる場面が続く。ラクソネンのサーブは波があったものの、決まるときは絶妙のコースに絶妙のプレースメント。結果的には、錦織が何とかブレークして先行した直後に雨で中断したことで、ラクソネンの覚悟が決まった。負傷棄権という形で錦織が4回戦に進んだが、こういう場面で一気に押し込めない弱さは気がかりだ。過去には、フェデラー相手に一方的にリードしながら、遠慮が見えたあたりから逆転されたこともある。メンタル面では、あまり成長が感じられないのだ。

一方、車いすテニスの国枝慎吾は、同じくユニクロがスポンサーのゴードン・リードに先行されながら、執念で拾いまくり、リードのミスを誘って逆転勝利を収めた。前日には青山修子と柴原瑛菜がファイナルセット0-4からタイブレークを制して勝っている。錦織もここまでの2戦は5セットを戦い切っての勝利なので、決して淡泊なわけではないのだが、勝負より美学を優先しているようにも見えるところが気になる。

大坂なおみの棄権は物議を醸しているが、試合も見ずに質問を重ねるメディアの姿勢を考え直す時期ではあるだろう。野球やバスケなどでも言えるが、試合を見ずにスタッツだけを材料に書いている記事があまりにも多すぎる。それは特に日本のスポーツメディアで顕著だ。古くはイチローメジャーリーグに挑んだ際にあった「〇試合連続安打」という見出しは、その最たるものだ。そんなものは、スタッツだけ見れば子供にだって書けるのだから。