【浦沢直樹】あさドラ!(5)

さすが浦沢直樹だ。壮大なストーリーを見せつつ、同時並行で進むサイドストーリー的な話を挟む手法は、まさに米国ドラマ。切り替えが早く、それぞれの展開に興味が募って次に何が起こるかが気になってしまう。本編では浅田アサが慣れない夜間飛行で「アレ」に立ち向かえば、ヨネちゃんとミヤコちゃんはそれぞれに女子的なイベントに巻き込まれる。そして、おっちゃんときぬよさんが脇をしっかりと固める。

ポン・ジュノが絶賛しているという話もあるので、ハリウッド映画かNetflixあたりのミニシリーズで撮って欲しいものだ。ストーリーは骨太だし、ゴジラへのオマージュも感じられるので、米国はじめ全世界でも十分に通用するのではないだろうか。変に日本色を出そうとしたり、日本映画にありがちな絶叫、慟哭、過剰演技に走らない限りは期待が持てる。その場合は、ぜひ浦沢本人に音楽の選曲も担当してもらいたい。

この作品は、序盤こそ先の流れが読めずにモヤモヤさせられたものだが、方向性が見えてからのドライブ感は格別だ。登場人物のキャラも十分に立っているので、読みながら誰かと誰かを取り違えてしまうようなこともない。安心して、次巻を待っていることにしよう。