【コミック】よつばと!(15)

よつばと!」3年ぶりの新刊となる15巻が、ようやく発売された。長期休載は当たり前という作品なので、多少間が空くのは覚悟しているとはいえ、ここまで空いても興味が削がれないのはこの作品のすごいところだ。

相変わらず素晴らしいのが、よつばの表情の描写。綾瀬家に上がり込んで、試験勉強を邪魔しつつお菓子を狙うときの表情は、いかにも子供がやりそうなもの。自分もきっと、こんな風に周りの大人に見られていたのだろうと思うと、ちょっと気恥しくなってしまう。それだけリアルに、子供の視線や表情の動きをとらえているということで、これはできそうで簡単にはできないことだと感じる。やんだがミキサーをとーちゃんに買わせようとして、その企みを見透かされたときの「チッ」という表情も絶妙なので、あずまきよひこの眼は大人にも子供にも冷静に向けられているようだ。

石を探すという行為も、あらためて提示されると確かに子供の頃には楽しみになり得たのだと思い出す。ちょっとしたことで楽しめたあの時代が幸せなのかどうか、価値観にもよるだろう。石を探しに海岸まで行ってしまう人がいて、「それならあそこに行け」というこだわりを持った人がいる。それもまた、真実だ。普段は見逃していることがあちこちに散りばめられていて、大人が見失っているものが見えてくるのもこの作品ならではだ。