【ドラマ】ハウス・オブ・カード

これはケビン・スペイシー演じるフランシス・アンダーウッドが狡猾な政治力を発揮して、下院の院内総務から副大統領、大統領と野望の階段を駆け上がってゆく物語だ。しかし、スペイシーの男性へのわいせつ行為で刑事訴追されてしまったため、シーズン6では突然死んだことになっており、妻で大統領に就任したクレアをメインに話が進められた。これにより、シーズン6はとってつけたような「オチをつけるため」だけに描かれたエピソードになってしまい、評価も急降下したようだ。

このタイミングで一気に見たからこそ面白かったのは、現実世界で選挙に敗れたドナルド・トランプが悪あがきしている打ち手と重なることだ。投票所を閉鎖して下院投票に持ちこんだり、任期切れ前に辞任して副大統領に自身を恩赦してもらおうとしたりといった行為も類似しているし、憲法修正25条を適用した大統領罷免まで出てくるのでいかにもタイムリーだ。現実世界で起きていることが数年前に予言されていたようなドラマとも言えるが、米国市民にとってこれらのことは「よくあること」なのかもしれない。

全編を通して「この登場人物は生命が危ない」と感じると、ほぼ例外なくそうなってしまう展開になる。序盤では「まさか、そんなことが」と思って見ていたが、終盤になるにつれて驚きもなくなってしまった。陰謀説が取り沙汰されることもあるが、米国市民にとっては身近なことなのだろうか。こんな政治の世界で仕事をしようと僕は思わないし、その昔、民主党から参議院議員に当選した大橋巨泉がすぐに辞任してしまったのも、想定以上に政治の世界が暗黒だったからだと思っている。