【箱根駅伝】駒大が逆転優勝

往路優勝を果たした創価大学が予想に反してなかなか落ちず、10区に入ったところでの駒澤大学との差が大きかったので、このまま行くだろうと思っていた。僕もそうだし、恐らくほとんどの人がそう感じていただろう。落ち着いたペースで入った創価のアンカー小野寺は蹴った足が外側に跳ねる独特な走法だったが、駒大の石川が徐々に、しかし着実にその差を詰める。新八ツ山橋を過ぎたあたりで、逆転が現実的になっていた。

アンカーの走り方や表情、勢いを見る限り、ふたりのランナーには大きな差があったように思う。ただ、起用法を変えればどうにかなったかというと、決してそうではない。各区間の順位だけ見ると、2区のムルワが6位で足を引っ張ったように見えるが、ここは各校がエースを投入する「花の2区」だ。アンカーが別の選手だったとしても、10区間を走るうちに総合力の差は結果として出てしまっただろう。

それにしても今回は青山学院が往路で失速し、優勝候補に挙げられた明治はシード落ち。コロナ禍ということもあって、本来持っていた力を出し切れなかった大学もありそうだ。沿道には多くの観衆が見られたが、中には生活道路を渡れなくて待っている人やもいただろう。一概に彼らを責めるのは筋違いだと思うし、大会を実行した側にも大きな責任はある。そもそも駅伝やマラソンのようなロードレースは、地元民が何らかの不自由を被ることを承知で開催される。誰のための大会か、見つめなおすきっかけにはなるかもしれない。