【武藤泰明】マネジメントの文明史

日本経済新聞出版の「マネジメントの文明史」はネタとしては面白いけれど、とにかく読みにくい。「ですます」調の文の次に「だ」と言い切る文が続き、それが繰り返されるので気持ちが悪くなるし、修飾がどこに係るのかも非常にわかりにくい。トンマナの不統一ということなのだが、これはまあ著者の趣味だから仕方ない。しかし、校閲の甘さは酷すぎる。細かなタイポは数知れず、最悪なのはピーター・ドラッカーを「オーストラリア生まれ」と記載していること。これはもちろん「オーストリア」の誤りだが、この手のビジネス書でこの間違いはさすがにあり得ない。

話を膨らませる小ネタの扱いも、論旨を明確にするスパイスにしているのではなく、あくまで著者の知識をひけらかすことが目的にしか見えない。最近読んだ「めいろま」こと谷本真由美の「世界のニュースを日本人は何も知らない(ワニブックス)」もまったく同様なのだが、140字で書くTwitterのノリで小ネタを書き連ねて一冊の本に仕立てたような構成なのだ。これでは脱線だらけで本筋が見えなくなってしまうのは必然だ。「文明史」というからには、もっとクロニクルな構成にしてほしいところだが、あっちに飛びこっちに飛び、あれにも触れこれにも触れ、結論が導かれないまま約400ページが終了する。

粗製乱造という言葉が頭をよぎったが、それは著者の責任ではなく出版社や編集者の責任だろう。