【小沼竜太】伝え方は「順番」がすべて

光文社新書の「伝え方は『順番』がすべて」が示唆に富んでいて面白かった。著者の小沼竜太は、ゲームのマーケティングを手掛けるリュウズオフィスの代表で、「真・女神転生」や「Fate/ Grand Order」などに携わったその道の第一人者だ。

ゲームの販促では、情報を出すごとにコンテクストが変化してユーザーの態度も変容してしまうので、出す順番こそが肝だというのが著者の主張。誰に何を伝えたいかを決めたら、現在地点と理想のゴールをつなぐシナリオを描き、それに沿った情報の出し方をしなければならないという。ユーザーは一度態度を変容させてしまったら、なかなか元に戻らないという「不可逆」的な傾向があるので、順番を間違うと取り返しのつかないことになるという主張にはうなずける。

ただ、この著者は語彙や日本語の厳密な用法には少々難があるので、何が言いたいのかを正確に理解するのはなかなか難しい。おそらくこの文脈ではこういうことを言いたいのだろうという予測の下に読み進める必要があるが、僕の場合はそれで方向を見失うことはなかったので、ある程度のバックボーンがあれば参考になる知見が得られるはずだ。