【ローランギャロス】シフィオンテク―ケニン

テニスのローランギャロス女子シングルス決勝は、19歳のシフィオンテクがグランドスラムタイトルを持つケニンに挑んだ。普通に考えればグランドスラムのファイナルに初めて進出したシフィオンテクが硬くなるものだが、試合前からケニンの表情の方がぎこちない印象だった。序盤はケニンが波に乗れなかったが、徐々に戻す。しかし、シフィオンテクの繰り出すコンパクトなスイングから速い振り抜きのショットが冴え、ケニンにコースを読ませない。フットワークも素晴らしいので、どんなに左右に振っても追いつかれてしまう。その対策としてケニンは、アングルを思い切ってつけていたが、裏目に出てアウトになる場面も多かった。

ただ、シフィオンテクもなかなかファーストサーブが入らない。サーブの確率がもっと高ければ、この決勝はもっとあっさりと勝負がついていたことだろう。ところどころで、自分のミスやケニンの鮮やかなリターンに両手を広げて不満を見せるところもあり、まるで西岡良仁が悪いサイクルに入ったときのようなしぐさに見えたが、若さを考えればそれも普通のことだろう。

シフィオンテクはポーランド人として初のグランドスラム優勝者となったが、男子ダブルスで優勝したクラウィース(ドイツ)や女子ダブルスで決勝に進出したクロークザイク(米国)も、その姓からはポーランドの系譜を感じさせる。ロシアとドイツに挟まれて苦難の歴史を乗り越えてきた国だけに、移民は多いはず。僕もポーランド文化に興味を持ったところなので、この符合は実に興味深い。