【USオープン】ジョコビッチ―カレーニョブスタ

伏線はあった。思い通りにならない状況から、ボールをサイドライン方向に打ち込むシーンが見られたジョコビッチ。その直後には、転倒して肩を痛める。もっともこれはジョコビッチの常套手段で、流れが悪くなると大げさに痛がって時間を稼ぐ。プレーに戻ったときの彼の表情は、まさにそんな感じだった。そして、カレーニョブスタがブレイクすると、サービスのために持っていたボールのうち2つめをラインパーソンにぶつけてしまう。

テレビ映像もその場面をとらえていなかったが、ラインパーソンが苦しそうな声にならないうめき声を上げると、チェアアンパイアのトゥルテさんがすぐに駆け寄る。彼女はフランスで看護師の仕事もしているだけに、このあたりの動きは適切だった。レフェリーとスーパーバイザーが協議する間も、ジョコビッチは笑みを浮かべながら弁解を続けていたが、最終的には「失格」の判断が下された。かつてシャポバロフがデビスカップで、チェアアンパイアにボールをぶつけて失格になったことがあるが、そのときはチェアアンパイアのガバさんは目を手術することになってしまったので、ジョコビッチの行動も非常に危険なものなのだ。

そんな中、カレーニョブスタは不安そうな表情で事の成り行きを見つめていたが、ベスト8進出が決まって複雑な気持ちだったことだろう。デイセッションが波乱のまま終わり、ナイトセッションではシャポバロフがゴファンを下した後のアーサー・アッシュに大坂なおみが登場。力で押すコンタベイトに力で上回って、完璧ともいえる勝利を手にした。男女ともまったく先の読めない展開になったので、それはそれで楽しみなセカンドウィークになっている。