【コンプライアンス】法令<社会規範

コンプライアンスや内部統制のテーマとして最近多く語られているのは、法令違反よりも社会規範の逸脱の方が企業にとってのダメージが大きくなるということ。つまり、「法令には違反しない」といくら言い張っても、あるいは訴訟に勝ったとしても、レピュテーションが傷つくことで企業が積み上げてきたブランド価値がいとも簡単に崩壊してしまうリスクがあるということだ。

社会規範とは、世間からどう見えるかということ。SNSで陥りやすい誤解は、自分の周囲には自分と同じ意見が主流であるということ。人間は無意識のうちに選択的に物事を見ているので、自分に都合が悪いことや興味のないことは「なかったもの」として片づけてしまいがちだ。それに、SNSやブログでリプライやメンションがつくのは、多くの場合において同調意見。政治家や有名人でない限り、あえて反論を書き込もうというモチベーションは働きにくい。その結果、自分の周りには自分と同じ意見だけがあふれているという状況になりやすい。

そんな中、格好の事例が起きた。枝野幸男氏の「宇都宮ツイート」である。ご本人は公選法に違反しないという主張のようだが、それは問題ではない。世間への見え方によって、今まで積み上げてきたものが崩れてしまうのだ。お仲間が同調することで仲間意識が強め、反論を唱える人たちを「そういう人はどこにでもいる」と評する。民間企業だったら、下手をすると懲戒処分に当たりかねない行為なのだ。