【全豪オープン】ナダル―ティエム

激しい打ち合いの壮絶な試合だった。両者ともに強いショットを叩き込み、外から巻いてくるナダル得意のショットをティエムが見せれば、ナダルもグラウンドスマッシュをお見舞いする。そんな展開の中で、ティエムの打つ球の重さ、言い換えれば回転量の多さがナダルのミスを誘発していたように思う。重要な局面でコードボールがティエム有利に落ちたのも、この回転量と無関係ではないだろう。

僕がティエムのショットの重さを感じたのは、3年前の楽天オープン。スティーブ・ジョンソンとの死闘で、特にセカンドサービスでの回転量とボールの変化に目を見張ったものだ。ちなみにこの試合は、去年の楽天オープンでのチョン・ヒョン―チリッチ戦と並んで、僕の中でのベストマッチだ。

今日のナダルは、メンタルも乱れていた。ナダルのトスアップまでの遅さに対してチェア・アンパイアのトゥルテさんが取ったバイオレーションにフラストレーションを見せ、さらにはベンチ脇のスポットクーラーの効きの悪さにイライラを募らせていた。こんなナダルを見る機会は、それほど多くない。普段は見られないようなアンフォーストエラーダブルフォルトも多いナダルに対するティエムの勝利は、内容からみて妥当な結果だった。