【AFC U23選手権】日本―シリア

サウジアラビア戦の後に噴出した森保監督解任論に対して、僕は異論を持っていた。東京オリンピックの出場権をすでに確保しているU23日本代表にとって、これは勝負の場ではない。食野以外の海外組を外して誰を選ぶか、そんな選考の場だと認識していたので、勝敗は二の次だと思っていた。大分の岩田が呼ばれなかったことも、フルシーズン主力としてリーグ戦を戦った選手に休養を優先させたのではないかという思いもあった。

しかし、シリア戦の攻守を見て、印象は一変する。まるで悪いときの大分トリニータのように、ポゼッションサッカーを言い訳にチャレンジをしない。誰かがリスクを冒して前にボールを運んでも、次のパスが出せずに戻してしまう。これでは、まったく意味がない。ポゼッションの意味は相手の守備を剥がすことなのだが、キープすることが目的のようになってしまうのだ。かつて横浜フリューゲルスでプレーしていた頃の吉田孝行は、自陣に向けてドリブルを仕掛けることがよくあったが、これも同様の勘違いだ。

大分のサッカーは片野坂監督の戦術だが、古巣であるサンフレtッチェ広島のプレースタイルも非常によく似ている。森保監督にも同様の志向があったとしてもおかしくないが、選手にポゼッションの目的をしっかり叩き込まなければならない。ただパスを回しながらじりじり攻め上がっても、それは自分たちのスペースを消してしまうことになりかねない。早めにチャレンジする、つまりリスクを冒すことも必要なのだ。