【ストレイテナー】吉祥寺

初めてミニアルバム「Blank Map」を聴いたとき、#2吉祥寺のタイトルも歌詞も曲調も、なんとなく昔のフォークソングのように思えてしまった。ホリエアツシはときどきそんな曲を書くし、そんな曲の方がメロディも記憶に残ったりもする。ただ、期待を籠めて聴いたアルバムが、ちょっと方向性が違う気がしたのは確かだ。

ところが、カウントダウンジャパンに向けて何度も聴き込んでいくうちに、同じ現象が起きてきた。歌詞の泥臭さがメロディの美しさにオーバーライドされて、どんどん好きになって行ったのだ。カウントダウンジャパンでは僕の期待通りにこの曲を演奏してくれたのだが、「Blank Map」からはこの1曲だけだったことを考えると、彼らにとっても自信作だったのではないだろうか。

吉祥寺の街は僕にとっても高校、大学、社会人とそれぞれに思い出があって、特別な意味のあるところ。ホリエの描く歌詞が、そんな思い出ともオーバーラップしてしまうのだ。映画館はなくなったし、公園にはカフェが増えた。でも一方で、プチロードに昔からあるカフェは健在だし、東急裏にも懐かしい店がある。忘れかけていたこの街の記憶を呼び覚ましてくれた、僕にとってはそんな曲なのだ。