#映画レビュー

【映画】AIR/エア

ナイキのシューズ「エア・ジョーダン」が誕生するまでのストーリー、言い換えるなら、ナイキがマイケル・ジョーダンと契約するまでのストーリーをベン・アフレックとマット・デイモンのコンビで作り上げた作品。展開は、ありがちなサクセスストーリーではあ…

【映画】トップガン マーヴェリック

1986年の映画「トップガン」の続編を36年後に作り、登場人物をオーバーラップさせるという荒業を見せてくれた作品。正直言ってストーリーは手垢のついた古臭いヒーローものの定番で、ピンチになるとラストミニッツに仲間が助けに来るというウルトラマンのよ…

【映画】ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY

当たり前のメッセージをストレートに伝えるマーベルとは違い、DC作品はダークな価値観を体現する。それが視聴者のカタストロフになり、結果的に犯罪や「ちょっとした悪いこと」が抑制されるとしたら意味があることなのだろう。しかし、逆に犯罪や悪事を助長…

【映画】ELLEGARDEN: Lost & Found

ドキュメンタリー映画であることは理解していたのだが、ここまでインタビューの部分が多いとは想定していなかった。ほぼ全編にわたって、エルレのメンバー4人が語る構成になっており、ときおりライブ映像やゲストのインタビューが差し込まれる。音楽要素に期…

【映画】アントマン&ワスプ:クアントマニア

MCUのフェーズ4は、マルチバースに安易に手を出して迷走した感覚が強かったが、フェーズ5の初回となる「Ant-Man and the Wasp: Quantumania」はいい感じに方向性が修正されていた。もともと量子世界を扱っていただけに、マルチバースとの相性は悪くない。同…

【映画】聖なる証

フローレンス・ピューが主演ということで、興味を持って観た作品。「ブラック・ウィドウ」でのコメディエンヌ要素は一切なく、少女の生死と宗教が絡む難しいタスクに直面した看護師リブをシリアスに演じる。宗教的な正義を方便にして自らの行動を正当化する…

【映画】イニシェリン島の精霊

アカデミー賞のノミネートで興味を持った作品だが、アラン諸島を訪れたこともあり、ヴァイオリンを弾いていたこともある僕にとっては、親近感を覚える作品であったともいえる。ブラック・コメディという位置づけで、絶縁した親友との関係を決定的なものにす…

【映画】魔法にかけられて2

前作の原題が"Enchanted"で今作は"Disenchanted"なので、「魔法にかけられて」に対しては「魔法が解けて」という意味だ。15年という月日の経過を表すかのように、ジゼルもロバートもモーガンも、前作の延長では描き切れない。しかし、展開を追ってゆくうちに…

【映画】スウィング・キッズ

あまり見ない韓国映画だが、行きつけのコーヒースタンドの店主が絶賛していたので、興味を持って見ることにした「スウィング・キッズ」。韓国らしくリアリティにこだわらずにエンターテイメント性を織り交ぜているため、重いテーマにしては暗い気分にならず…

【映画】刑事ジョン・ルーサー: フォールン・サン

先日までアマゾンプライムでドラマ版を見ていたので、映画版がNetflixの配信ということに違和感があった。ただ、内容は完全にドラマを踏襲しており、猟奇的な事件を収監中のルーサーが脱獄までして解決するという破天荒な展開だ。ルーサーは表情にも年齢を感…

【映画】西部戦線異状なし

1930年に製作された映画のリメイクなので、実に100年近くを経て映像化された「西部戦線異状なし」。派手なシーンがあるわけでも、人気俳優が揃っているわけでもなく、ただ淡々と戦場の真実を描いている。すぐそこにある死の恐怖に苛まれながら、自分を守る選…

【映画】グリーンランド -地球最後の2日間-

サブタイトルがなければ、極北の大地を目指すロードムービーのような印象を受けるが、実は彗星クラークが地球に衝突するという災害型スリラーだ。米国政府が極秘裏にグリーンランドに設置していたシェルターに「選抜者」だけが避難できるという設定で、何と…

【映画】RUN/ラン

代理ミュンヒハウゼン症候群の母に支配される娘。しかし、実はその親子関係も真実ではないという非現実的な設定なのだが、作り込まれた設定に違和感が消されている。複数の障害を抱える娘クロエを演じるキーラ・アレンの鬼気迫る演技は凄まじく、こちらも存…

【映画】オールド

奇才M・ナイト・シャマラン監督によるホラー映画「オールド」は、何が何だか理解はできないものの、最後まで一気に見せてくれる秀作だ。企業の謀略に絡めながら、岩壁と荒波に閉ざされたビーチで加速された時間に苛まれる家族の物語だが、理解を超越したもの…

【映画】ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー

主演のチャドウィック・ボーズマンの死という宿命的な状況を背負った「ブラックパンサー」の続編は、世代交代を進めるマーベルとしては妹シュリの物語にならざるを得なかった。そこにいったん、母ラモンダの王位継承を挟んだのは、継承権として女性血族に行…

【映画】ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密

ファンタビシリーズの第3作だが、正直なところ前作の記憶がほとんどないので、そもそも誰がどういう設定かを思い出しつつの鑑賞だった。さすがにビジュアルエフェクトや人間以外のキャラクターの造形は素晴らしく、風船のように浮上した生物が竜のように飛行…

【映画】ベルファスト

カトリックとプロテスタントの間の抗争が続く北アイルランドのベルファストを舞台に、9歳の少年バディの視点で市民の生活を描く作品は、監督と脚本を務めたケネス・ブラナーの自伝的な内容だ。信じる宗教の違いは、幼少期から染みついた価値観の根幹に影響を…

【映画】ザ・メニュー

ホラーとコメディの要素を絶妙なバランスを織り込んではいるが、これは間違いなく演劇空間。そこだけにしかない価値観と合理性が作品全体を覆い、非現実性を十分に醸し出している。言い換えると、そこで起きたことのすべてを理屈で判断することはできず、説…

【映画】シン・ウルトラマン

オリジナルのウルトラマンは「空想特撮シリーズ」という位置づけだったが、本作は人間社会の対立と戦争の合理性を巡る社会的な作品だ。原作に対するオマージュもある一方で、設定に大幅な改変も加えられているが、それはすべて「原作を自らの文脈で再構成し…

【映画】LAMB/ラム

「ラム」は、アイスランドの荒涼とした自然の中で繰り広げられるダークな物語。あまり予備知識を持たずに見たのだが、僕の想像力の斜め上を行く発想についていくのが大変だった。とにかく台詞が少なく、独特の世界観は役者の演技とカメラワークで表現される…

【映画】ナイブズ・アウト:グラスオニオン

「ナイブズ・アウト」の続編として位置づけられることに、ライアン・ジョンソン監督はご不満のようだ。確かに、この作品を鑑賞するにあたって「ナイブズ~」という事件あるいは状況との関連を想定する必要はなく、あくまで「探偵ブノワ・ブラン」シリーズで…

【映画】モービウス

ストーリーの展開がなんとなく「ジョーカー」を思わせるもので、過去にその人物にトラウマを負わせた周囲、あるいは社会にこそ責任があるという雰囲気が漂っていた。ただ、「ジョーカー」の描き方がそのロジックに終始したのに対し、本作では「そんなトラウ…

【映画】アナザーラウンド

デンマーク人のマーティンと仕事でやり取りしていた際にたまたま北欧ドラマの話になり、彼が薦めてくれた映画「アナザーワールド」を見てみた。マーティンいわく、中年のデンマーク人の生活がよく表現されているとのことだったが、実際に見てなるほどという…

【映画】アンチャーテッド

アドベンチャーゲームを原作とした映画で、インディ・ジョーンズを意識していることは随所に窺える「Uncharted」。トレジャーハンターたちが追っている宝がマゼランに絡むものであるという部分で、僕としては興味を惹かれる。マゼランの世界一周や「マゼラン…

【映画】ゴーストバスターズ/アフターライフ

最近マーベルが高齢化したキャストの若返りを図るべく、世代交代のためのドラマを配信しているが、これはソニーがその流れを踏襲したのだろうか。そう思えるような作りのゴーストバスターズシリーズの新作だった。主人公は10代の子役というか若手俳優という…

【映画】アイ・ケイム・バイ

それなりに面白い映画ではあるものの、見終わっての充実感がまったくない作品だった。展開としては、とにかく主要人物があっさり死んでしまう。きっと重要なファクターを担っているのだろうと思ってみていると、すぐに殺されてしまって以降は触れられること…

【映画】ピノキオ

結構毒を含んだ原作を、いい感じのエンターテイメントに仕立てたのは、さすがにディズニーの力だろうか。ピノキオは悪気のない形で悪いことをしてしまう「世間知らず」というポジショニングを与えられる一方で、登場する他のキャラクターたちは生きるために…

【映画】ソー:ラブ&サンダー

序盤は妙に思わせぶりな展開なのに、中盤はダレまくり。そして終盤にもう一度何とか締め直して終わったという感じの作品だった。世代交代が続くMCUの中で、ソーが誰に継承するのか。「ラブ&サンダー」とは何を指すのか。それらの疑問には答えてくれたものの…

【映画】バズ・ライトイヤー

キャプテン・アメリカのように頑固一徹なヒーローが困難を乗り越えて任務を果たすストーリーだと思っていたが、背後にあるのは思いのほか深いテーマだった。宇宙に取り残されて故郷に戻れない人たちを救おうとするライトイヤーに対し、当の本人たちはそこに…

【映画】コーダ あいのうた

今年度のアカデミー賞受賞作品というより、フランス映画「エール!」のリメイクという点で気になっていた。「エール!」はいかにもフランス映画らしいエスプリにあふれる作品だっただけに、アメリカを舞台にどう置き換えるのかに興味があった。結論としては…